無痛分娩と痛み

いろいろ面白いトピックが飛び交い、ワクワクします。

何度も云いますが、専門でないから、現場で働いていないから、ディスカッションに入れないと尻込みせず、みなさんの思っていること、感想、経験など、なんでもどんどん書いて下さいねー。

さて、無痛分娩と痛みのこと、ZOOMミーティングの最後にじゅんこさん、直子さん、淳子さんと話していて、気が付いたことを書かせてください。(「痛み」はエッセイが書けてしまうくらい底が深いので、ここでは簡単に触れます)

痛みにはいろいろな種類があり、その感じ方、受け止め方は個人的に違います。分娩病棟がひっくり返るほど大騒ぎして、内診すれば子宮口はまだ2㎝しか開口していなかったり、すごーく静かで何も言わないので、まだまだと思っていると、急にいきみ出して、児頭が見えて、あっという間に産まれたり、個人の痛みのレベルと耐久力は、本当に回りの者にはわかりません。

陣痛は、お産になくてはならないもの、陣痛なしでは出産は出来ません。陣痛と他の痛みの違いは、陣痛は波のよう、だんだんと強くなってピークに至り、そのあとは少しずつ和らぎます。陣痛と陣痛の間は、Resting priodで痛みはありません。

自然な陣痛は、母体と赤ちゃんが作るので、決して耐えられない痛みではないという人もいます。

お産が正常に進み、自分をコントロール出来て、リラックスすれば、身体から自然なOpium(Endorphin)が出て、痛み止めの役割をしてくれます。

でも、実際は、お産が始まって分娩室に来たお母さんたちのほとんどが、「陣痛がこんなに痛いとは誰も教えてくれなかった―!」と叫びます。

その状態で、痛み止めの種類や利点や副作用など話したところで、馬の耳に念仏、もう遅すぎます。「何でもいいから、痛みを取ってくれー」、「こんな痛みには耐えられないー」とパニックになってエピデュラルというケースがほとんど。

運よく麻酔医がつかまれば、すぐエピデュラルをしてもらえますが、麻酔医が緊急でシアターに呼ばれている時などは、終わるまで(時には何時間も)待たされ、やっと来た時には産まれていたということも(よく)あります。

エピデュラルの副作用は(長くなるので)ここでは触れませんが、私はテクニック的なことで起きる稀な事故より、エピデュラルをすることによって、どれだけ自然分娩からかけ離れていくのかを、妊産婦さんは知らなければならないと思うのです。

うちのユニットが使っている薬はQCCHのミックスです。

エピデュラルをしても、歩けるということで「Mobile Epidural」と呼びますが、実際には危なくてトイレに歩かせることはできません。(何度かトップアップした後はなおさらです)で、必然的にCatheter導入になります。

痛みはお産がどれだけ進行しているかを把握するツール、異常を早期に察知するバロメータ―でもあるわけで、それを感じなくなったら、代わりに機械(CTG)に頼ることになります。

NBMになり点滴が始まり、Pre-medが与えられ(シアターに行くケースが多くなるため)、ずっとCTGのモニター監視がはじまる。

機械というのは、知らなくてもいいことまで見えてしまうという欠点があるんですよね(だから余分な介入をする傾向になる)

みなさんは、エピデュラルの胎児への影響を考えたことがありますか?

お母さんは痛みを感じなくても、陣痛は起こっていて、赤ちゃんは痛くて苦しいのです。

子宮口が全開しても、「Urge to push」がないので、いきみが下手で、2nd stageが長引き、鉗子や吸引といったInstrumental delivery率が高くなる。

Instrumental deliveryの母体への影響は、会陰切開⊹ひどい裂傷、出血、産後の痛み、赤ちゃんだって、無理矢理引っ張られて、痛くて、ストレスして、母乳育児にも影響が出る。

私は、無痛分娩反対派ではありません。

メディカルの理由によって(IOLなど)、エピデュラルが本当に必要な場合もあります。

前回のお産が難産でトラウマになったママには、とても効果的なヘルプかもしれません。

でも、Low riskで自然にお産が始まり、順調に進んでいるのに、「痛いの嫌だーエピデュラルしたい」って叫ぶ妊産婦さんたちに、「ちょっと待って、もう一度考えて」とメッセージを送りたいのです。

どんどん医療化して、どんどん自然から離れていく、このチェーンリアクションを「無痛分娩したい」って思っている妊産婦さんたちに伝えたいのです。

Harumi Miyauchi

J-OSAN ウェブサイト管理者

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